« 団長閣下の暴言04 | トップページ | 団長閣下の暴言06 »

2006年9月 3日 (日)

団長閣下の暴言05

To Heartな毎日

INTRODUCTION 始まりは王立宇宙軍

 我が国のほとんどの人がそうであるように、私もかつて学校に通っていた。そして、やはりほとんどの人がそうであるように、私もまた無事(?)にそれらを卒業し、今に至っている。

 つまり、ほとんどの人は最低で九年、長ければ二十年以上学生であった、若しくは今現役で学生なのだ。従って、我が国の人間の大部分は、ベテランの学生と言える。
 更に少年、少女、青年、エロを問わず、マンガ雑誌の中では、学園物と呼称される様々な作品がひしめいている。他のジャンルに比べて、その数のいかに多いことか。

 にも係わらずである。学園物TRPGをする人は殆どいない。そもそもルールが少ない。普通の学校生活そのものを主題に置いたゲームとなると、『学園ぱらだいす』くらいしかないぞ。しかも絶版だし。

 言っておくが、生徒数十万人の学校とか、魔法が日常的に見られる学校が、普通だとは言わせないからな。・・・とすると『学園薔薇ダイス』は普通なのか・・・。リアリティがあるかどうかは別としてな。

 てな訳で、今回は学園物TRPGのススメだ。

第一章 入学試験

 結論から言おう。学園物TRPGは初心者向けである。TRPGは一種の異世界を体験するゲームであり、これほど誰でもが深く理解していて、なおかつ資料の豊富な異世界は存在しないからだ。

 一昔前と違い、最近のTRPGはルールに世界が付いてくる。いや、ルールはそれぞれの世界を体験するための道具であり、ルールこそが世界の付属物なのである。

 それ自体は、決して悪いことではない。それぞれの世界には独自の魅力があり、ルールはその魅力を引き出すように作られている(はず)だからだ。

 だが、その世界が魅力的であればある程、特殊であればある程、初心者にその魅力を伝えるのは難しく、時間がかかる。

 対して、学園物なら説明は容易だ。どういう雰囲気のゲームにするかなど、適当な誰でも知っているマンガを実例として言えば、大抵はOKである。私なら、マンガ自体を一冊持っていき、「10分で読め!!」と渡して、その間にシナリオを書き始める。

 更に、学園物には欲望を刺激する力がある。なぜなら、現実の学校はマンガのように理不尽でもなければ、刺激にあふれている訳でもない。

 我が団の人間に、番長学園のルールを読んで「俺の高校時代を見ているようでイヤだ」などとぬかした奴がいたが、こんな奴は例外中の例外だ。

 殆どの人間の学校生活は、灰色に近いものだった、若しくはそうなりつつある筈だ。特に、TRPGをやっているような奴は、そうに違いない

(黒骰子団編集部注1:団長閣下の偏見です)

 その、灰色の人生をやり直せるのだぞ。何と魅力的なことか!

第二章 入学式
 さて、学園物をやるとして、どうプレイすれば良いのだろう。

 学園物をプレイするとき、まず困るのがマスターである。番長学園や放課後怪奇倶楽部等の一部の例外を除けば、大抵の場合、倒すべき敵がいないのだ。

 PCを陥れる大規模な陰謀も無ければ、複雑怪奇な事件も無い。シナリオをどう展開していいのやら。ファンタジーやサイバーパンクに慣れてしまうと、往々にしてよく起こる。

 一言、言っておこう。

 いるか!!んなもん!

 よく思い出せ。『BOYS BE・・・』で魔王が暴れていたか?『奇面組』で、全話に及ぶややこしい謎や陰謀があったか?『GTO』に殺さなければならない敵がいたか?にもかかわらず楽しめるし、何巻も続いているぞ。

 要は、そこにドラマがあったから面白かったのだ。ならば、取り敢えず普通の日常をやれば良い。その中に、日常をかき乱すささいなイベントを放り込めば、ドラマは始まる。

 例えば、食パンを咥えて登校中に、転校生の女の子とぶつかる。学園のアイドルに告白された。今期予算割り当てを巡る、各部活の熾烈な戦い。何故か自分の悪い噂が流れる。男子校なのに、机にバレンタインチョコが・・・。

 上記の様なイベントは、あまりにもお約束だと思うかもしれない。だが、考えてもみろ。どれも、まず実際には、あり得ない話だとは思わんか?

 そもそも、君達の中に何人、遅刻寸前で食パンを咥えたまま走るという、キテレツな登校した奴がいるというのだ。ちなみに、私はよくやった。まあ流石に、美少女転校生とぶつかったりはしていないが。

 ましてや、バレンタインデーの男子校で、男からチョコがくるというブラッディバレンタインに遭遇した奴などまずいまい。・・・と思ったのだが、前述の番長学園男の学校では、実際にあったそうである。

 ・・・意外にあるものだな。

 とにかく!当事者になる機会なぞ、まず無いことは分かるだろう。ならばこれは、一種のファンタジーと言える。

 きっかけは、そんなお約束で良いのだ。どれだって、当事者にしてみれば、立派な事件だ。そういうお約束をいくつか起こし、それらを一本の糸で結べ。なんとなく深そうで、怪しいシナリオが完成するだろう。

 後はプレイ中に、怒涛の如くイベントをたたみかければ、プレイヤー達は自分達の願望やら陰謀やらを、こちらにぶつけてくる。話は向こうが勝手に作ってくれるのだ。ならば、あと君がすることは一つ。

 オチを考えるだけだ。

第三章 入学おめでとう

 では、実際のテクニックを伝授するとしようか。

 もっとも、学園物といっても、ジャンルは山ほどある。考えつくだけでも、ラブコメ、スポ根、ヤンキー、超能力、妖怪、不条理ギャグ、それらの複合などなど。

 はっきり言って、全部やれと言われても、私には無理だ。特に純愛系ラブストーリーは、私もきついが、プレイヤーが耐えられまい。

(注2:団長閣下の髭面を見れば納得します)

 私が最も得意とするのは、ノンストップアクションラブコメディ(長いので、以後NSALC)である。早い話が最後まで止まらない、ジェットコースター型のストーリーである。

 従って、上記のどれをやるにしても、最終的にNSALCの味付けになる。そうでなければ、ノスタルジー溢れる、ヒーロー物か。

 そういう訳で、今回のテクニックはNSALCとヒーローが死ぬほど嫌いと言う方は読み飛ばしていただきたい。

 1:主人公を決めろ

 シナリオの主人公、またの名を生け贄という。特にバリバリの初心者にやらせると、追い詰められて狼狽する様が、大変楽しめる。やり過ぎるとトラウマになるが。普通なら一人、アツい友情系でいくなら二人欲しい。これを選ぶことにより、シナリオを展開し易くなる。

 なお、全員が対抗する様な展開なら、主人公がどうしても必要と言う訳ではないが、やはりいた方が盛り上がるだろう。

 2:つかみはお約束

 先程も言ったが、オープニングはお約束でいくのが無難である。

 話が日常を描く以上、ダレる危険性が付きまとう。何しろ、目新しいものが余り無いからだ。とすると、のっけからインパクトのあるイベントが必要だ。その点、お約束なら誰もが言われた瞬間に想像出来る上、当事者になるという事態に新鮮さを感じられる。

 この想像出来るというのは重要だ。これによって、その場にPCのいないプレイヤーでもセッションに入り込み易いからである。それこそがダレを防止するのだ。

 3:展開はジェットコースター

 イベントは、たたみかけるように起こすべし。

 取り敢えずは前半、主人公プレイヤーに、あまり考える時間を与えてはいけない。シーンを短く切り、次々に状況を変化させ、何かをしなければいけないという心理的圧迫を与えるのだ。

 そもそも、事件の当事者にゆっくり考える時間などありはしない。そう、これはリアリティの追求なのだ。加えて、シーンを短く切るのは脇役PC達に活躍の場を与える事にもなる。

 4:脇役プレイヤーが主人公を追い詰める

 イベントで次々に縛ってゆく主人公とは違い、脇役プレイヤー達にはある程度の自由を与えよう。ただし、野放しではない。主人公プレイヤーにとってはいらん事を、吹き込んでから解き放つのだ。

 例えば、主人公に隠したい秘密が出来た瞬間に「そーいや、君のキャラ、新聞部だったよなあ。実はここにいたって事にすりゃ、スクープだね。君はどこにいるのかなあ?」とか、主人公に関する事実が、ややこじれた噂を聞かせて「・・・どうする?正義感に燃える風紀委員の君は、彼を許せるのか?」とかである。

 早い話が、主人公をみんなで追い詰めるという形に、誘導するのだ。実はこっちの方が、プレイヤーをやっていても面白い。困惑する主人公を、自分達の手で追い詰めてゆくのだから。

 5:クライマックスはビジュアル的に美しく

 クライマックスのシーンは、やはり盛り上げなければいけない。ただし、他のジャンルとは違い、怪物などの明確な敵等が存在しない以上、盛り上げる為には、いつも以上に周囲の風景を詳しく、美しく、お約束に描写しよう。

 夕日をバックに、学校の屋上で二人きり(脇役達は給水タンクの裏)とか、満月を背に高いところから叫ぶとか、体育館裏で向き合う二人。間を風が吹き抜けてゆく等だ。

 6:エンディングを考えろ

 恐らく、プレイの途中から、シナリオは脇役プレイヤー達主導になってゆく。従って、マスターはそれらを考慮に入れて、エンディングを考える必要がある。

 パターンは二つしかない。最後もお約束で締めるか、どんでん返しでオチをつけるかである。

 お約束は、プレイヤーにも読めるので、意外性に欠ける反面、確実で、美しく演出すれば成功し易い。どんでん返しは、うまくやればプレイヤーに驚きを与え、後々まで記憶に残るだろうが、外すと痛い。

 どちらにも、欠点はある。こればかりは、そのときプレイヤー達が、何を望んでいるかを読み取るしか無い。

 こんなところか。これらを読むと分かるだろうが、プレイ時間は比較的短くなる。長くて、3時間か。私の場合、最短で一話30分位だ。殆ど30分番組の感覚だな。

 これには理由がある。自分達に近い日常をプレイする為に、プレイヤーに飽きさせてはならないことと、プレイヤー達を急かしたり、方向性を示したりして、自由度をある程度制限している為である。

 特に後者は、極めて重要だ。自分達がよく知っている日常、世界であるが為に、何でもできてしまう。選択肢が大量にあるのだ。すると、何をやっていいか、分からない。ある程度は、選択肢を絞る必要がある。結果として、否応無くNSALCになるのだ。

 大抵の場合、この手法で私は、数話のシナリオを、間に休憩を入れつつ、立て続けにやる。お手軽なキャンペーンという訳だ。

 また、これらの手法は、他のジャンルのゲームでも、応用は十分に可能である。積極的に、活用していただきたい。

終章 終わりは森里蛍一

 『ああっ、女神さまっ』というラブコメマンガがある。その中で、理不尽な先輩が「大学内は治外法権だっ」と叫んで、主人公に無茶を強要するというシーンがある。

 私はこの言葉を信じて、大学に入学した。当然だが、大学内は治外法権ではなかったし、中央執行委員会なる悪の組織が、私の行動にことごとく文句をつけて来た。

 私の、「理不尽な世界で、学生という特権の元、四年間理不尽の限りを尽くす」という夢は破れたのだ。

(注3:団長閣下は4年半の間、理不尽の限りを尽くされました。それはもう、間違いなく)

 そういう事もあって、私は学園物TRPGが大好きである。ヒロイックファンタジーやSF、サイバーパンクや時代劇等ももちろん好きだが、かつて日常の隣にあったこの異世界は、やはり捨て難い魅力があるのだ。

 龍やサイボーグとの戦いの合間に、1,2時間の学園ドラマはどうだろう。きっと新しい魅力に気づくだろう。ちなみに私もまた、単位の数え間違いで、単位が一つ足らずに卒業を半年延ばした。

 こんなところだけ、『ああっ、女神さまっ』は極めて忠実であった。

|

« 団長閣下の暴言04 | トップページ | 団長閣下の暴言06 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 団長閣下の暴言05:

« 団長閣下の暴言04 | トップページ | 団長閣下の暴言06 »