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2006年9月 3日 (日)

団長閣下の暴言06

どこかでだれかがみていてくれる

INTRODUCTION ザコの快楽
 我が団の古株に、SMAQという絵師がいる。此の男は悪党、それも小悪党が、ばいーんでぼいーんなお姉ちゃんよりも好きというド変態である。

(黒骰子団編集部注1:倫理上不適切な表現をお詫びします)

(注2:当人に確認したところ、誤解であるとのことです)

 どのくらい好きかというと、マスターが「女の子が数人のゴロツキにかこま・・・」と言うや否や、

 「(妙に甲高い声で)お嬢ちゃん、逃げられると思っているのかぁい?」
 「か、かカワイイでちゅねー」
 「へっへっへ、おにーさん達がイイトコへ連れてってあげよう」
 「さあっ、こっちへ・・・ぶへっ、なにしやがる!」

 この時点で、他のプレイヤー達は何も言っていない。にもかかわらず、PCの登場シーンを用意。その後、「おっ、覚えてやがれーっ!」まで、一気に駆け抜けてしまう。もはや誰がマスターなのやら。

 だが、そんな時の彼の表情は、実に輝いている。正に至福。

 だが、君達も他のゲーム仲間を観察してみてほしい。大なり小なり、この傾向は彼に限ったことではない事が分かるであろう。ゲーマーの大半は、格好いい正義の台詞より、悪辣な台詞の方を、楽しそうに語るのである。私も例外ではない。

 無論、格好いい台詞を言うのは、恥ずかしいということもある。

 しかし、人間には何らかの欲望があり、悪人というキャラクターの多くが、それをストレートに表現した存在である以上、プレイヤー、マスター共に感情移入が容易なのは、まあ当然。つまり、悪人を演じるのはスッゲエ楽しいのだ。

 楽しいのはそれでいい。ただ、楽しいで終わってはいけないのがマスターである。何故なら、悪人をいかに憎らしく、悪辣に演じるかによって、プレイヤーの感情移入の度合いが、露骨に変わるからだ。

 ゴブリン退治のシナリオで、ゴブリンが降伏したから許してしまおうなどという考えが出るのは、マスターの力量不足なのだ。

 たとえ下っ端のザコでも、演出次第では、心の底からの殺意を芽生えさせることは可能だ。そこまでプレイヤーの頭に血を上らせれば、セッションが盛り上がることは間違いない。それでもゴブリンを許すと言うなら、それはそれでドラマだ。大変OKである。

 というわけで今回は、悪人の演じ方、現場編である。 

 なお、長くなり過ぎるので戦略編は次回の授業とする。

LESSON1 小悪党

 まずは基本中の基本、小悪党である。別名をザコともいうこのキャラクターは、ゲーム中最も出現率の高い存在だ。

 大抵の場合、物語の序盤から最終局面までコンスタントに登場するので、これをうまく演じられるかが、セッションのノリを大きく左右することになる。心してかかってもらいたい。

 小悪党のポイントは以下の五つだ。

・頭の悪さ
・意志力
・行動
・抵抗力
・声と台詞

 これらには論理的背景がある。まずは頭が悪いことだが(頭がいい場合は、立場が小悪党でも、名前の付いたNPCであることが多いので、LESSON2を参照すること)、彼らの役目は悪事を行い、しかもPCに見つかってやられることである。

 では彼らの典型的なオープニングにおける行動を分析してみよう。例は・・・最初のSMAQのヤツでいいだろう。

 悪事を行う時点で、法に対して無知か無頓着。しかも、その悪事を行うに際して、秘密保持の対策を十分に練らず(隠せよ・・・)、有事の際の行動は自己中心的かつ画一的で、状況に応じた対応をほとんど取らない(やっても、人質を取るくらい)。

 これのどこが知能の高い者のやることか。更に行動指針は、何者かの指揮かにある時以外は、支配欲や性欲、金銭欲、攻撃衝動、自己保身といった原始的欲求に極めて素直。

 まるで意志が強いとは言えない。ただし、忍者やクグツのような例もある。同じザコでも、忠誠心に富んでいたり、恐怖で縛られていたりすると、意志が強いことが多い。もっとも、行動が画一的なのはザコの宿命である。

 この精神的抵抗力の強さで、彼らが所属する組織の方向性が決まるので、ここは重要だ。これらをいかに表現するか、そこで声と台詞が重要となる。特にチンピラ系は、声が重要なファクターだ。

 チンピラ系の基本は、いかに頭の悪いキャラクターに演じるかであるが、この手の小集団は外見、行動共、統制が取れていない方がらしい。しかし、いちいちキャラクターの外見を説明するのは面倒だし、時間がかかるので雰囲気を損ねる。

 そこでまずは、喋り方だ。普通に喋る奴、方言、幼児言葉、どもり等をキャラクター毎の喋り方に付け加える。喋る内容は、先程挙げた原始的欲求に素直な台詞がいいだろう。

 だが喋り方だけを変えるのにも、限界がある。更にバラバラ感をプレイヤーに印象づける必要がある。そこで声だ。甲高い声や低い声を喋りに組み合わせるのだ。すると、不思議とキャラが立ってくる。

 SMAQの演じる、甲高い声でバカっぽい喋りのキャラクターなど、かなりのインパクトだった。キャラが立てば、プレイヤーの印象に残り、レギュラー化も夢ではない。所詮ザコだが。

 逆に組織系のザコは、喋り方も画一的、もしくは無言な方がらしくなる。妙な色気を出さない方が無難だ。会話は目的関係の内容のみに絞り、淡々と進めようとすると、弱くても圧迫感を与える事ができるだろう。

LESSON2 悪党
 続いて悪党である。ここで言う悪党とは、名前があり、ザコよりはまともな行動をとる連中のことである。場合によってはラスボスも含み、現実世界では最も多いタイプの存在である。

 こいつらをPCの敵にする場合には、プレイヤーに徹底的に憎まれる存在にする必要がある。

 できれば徹底的に憎ませた上で倒させた上で、やむにやまれぬ事情や、その裏にある悲劇などを演出してPC達を精神的に悪者にしてしまえば、憎んだ分だけプレイヤーが落ち込むことは間違いない。正にマスターの本懐。

 (注3:違います)

 これをやれ。敵でない分には憎ませ過ぎて、殺されないように注意してほしい。

 悪党のポイントは三つ。

・弱点を突いてくる
・防御力が強い
・いやらしい

 これらの中で最も重要なキーワードは『いやらしい』である。残りの二つはこのいやらしさを表現するための手段に過ぎない。では、具体的に説明していこう。

 弱点を突くのは悪人ならずとも考えることだが、彼らにはそれに加えてタブーが少ない。法や、道徳心に邪魔される事なく精神、経済、肉体問わず突いてくる。

 例えば、博士の協力を得るためにその娘をさらう。住民達に反乱をさせないよう、女子供を砦に監禁する。ヒロインの父の形見を盗んで体育館裏に呼び出す。政略を進めるために反対派の貧乏人に金をちらつかせる。

 取り敢えず、自分が有利になるならば、なりふりかまわないのだ。逆に、PC達から見ると、常に有利な立場から攻撃されることになる。従って、いかにこの弱点を克服するかがシナリオのカギとなるだろう。

 そこで、プレイヤー達の心に突き刺さる、弱点の突き方を考えてみよう。

 キーワードはわずかな希望である。例えば人質だ。複数の人質をさらったのなら、一人をのこして順番に殺してしまう。これは本気であることを宣言すると同時に、警告の意味をもつ。下手なことをすれば人質が死ぬ。しかも確実に一人は残っているのだ。

 ここで重要なのは、絶望的な状況下でも一人はまだ救えるかもしれないという、希望を残したことだ。あとは一番良い場面で人質をいたぶるなり、殺すなりすれば、プレイヤーがむかつくことこの上ない。

 別に人質に限ったことではない。要は希望をほんの僅かだけ残し、最後にそれを踏みにじればよいのだ。我ながらひどい話だ。

 そして防御力。これは分かりやすい。攻撃できないのだ。例えば、届かないところにいる。攻撃すると他に被害が出る。人質の身が危ない。攻撃している暇が無い。戦えば負ける。

 何でも良いのだ。要は何らかの理由で、相手が分かっているのに、目の前にいるのに攻撃できないのだ。これはもどかしい。

 正直、悪党に関してはロールプレイより、その行動の方が重要となる。何故なら、彼らこそが悪事の本当の主犯であり、悪事を指揮する存在だからである。

 小悪党のように後先考えない行動は、即座に命取りとなる。見下しているにせよ、強敵と見ているにせよ、彼らはまずPCに勝てる算段をしてから現れるのだ。

 喋り方や声に関しては、基本的に小悪党に準じるが、様々なタイプがいるので一概には言えない。もちろんキャラが立っていることが望ましい。

 描写は、外見や雰囲気なども語るべきだ。できれば、外見的にも普通と違うところがワンポイントあれば、プレイヤー達の覚えも良い。プレイヤーにラスボスの事を忘れられると悲惨だそ。

LESSON3 大悪党

 早い話が魔王や、世界を裏で操る大富豪等である。正直こんな奴らが何を考えているのか、私にはよく分からん。従って、いくつかの小手先の技のみで申し訳ないが、勘弁してほしい。

 取り敢えず、自分もプレイヤーも大悪党がどんな奴か理解できない以上、ロールプレイの基本はよく分からない奴である

 一見して、何でこんなことをするのか、分からないような行動をして、実はそれが後々重大な事象へと発展するようにもって行くと、さすがは大悪党という雰囲気になる。

 その上で、全てに自信をもった行動をさせよう。絶対的なピンチだとしても、落ち着いている位の自信は欲しい。こうすれば、プレイヤーにそいつが大きく見えるはずだ。

 このくらいであろうか。

LAST LESSON

 以前、団内でプレイヤー講座を行った際、ある団員が私に言った。

 「憎たらしい悪人を演じるには、何に気をつければ良いでしょうか?」

 私は答えた。

 「悪事を考えろ。その上で『うわ、ここまでやって良いの?』と自分でツッコミを入れてしまうレベルまで、それを徹底させろ。その悪事によって、PCの大事なものが壊れたらベストだ」

 「そう簡単にツッコミを入れるレベルの悪事なんて、思いつきませんよ」

 どうやらこの若い団員は、まっとうな人生を歩いて来たらしい。人非人の多い我が団の人間としては、希有な例と言える。

(注4:嘘です。そんな人間は一割程度です)

 最後にそういう人のための、激烈な悪事の構築方法を語って、今回の授業を締めくくることにしよう。

 悪事のレベルを上げる基本は、連想の積み重ねである。

 例えば、万引きから考えてみよう。まず物を取るために、どうしたら良いか考える。取り敢えずは服の下に隠す。それだけでは警戒が不十分だ。私服で巡回している警備員がいるかもしれない。

 では仲間に見張りをさせよう。すると、仲間の分も取らなければいけないな。では隠しポケットのついた袋を用意しよう。そういえば監視カメラが隠してあるかもしれないな。

 よし、別の仲間にタイミングを計って配電盤をいじらせよう。また仲間か増えたから、もっと取ろう。すると出口付近が危険だな。何かで、人の目を別方向に向けないと。

 よし、配電盤をいじる仲間に放火させよう。派手な方がいいな。よしガソリンを用意しよう。たかが万引きのために放火までいってしまった。このままいけば殺人や大量虐殺もやりかねない。

 つまりはこんな感じである。どうすれば、より利益が出るか、より安全かをタブーを無視して考えていくのだ。

 このとき、「こんなことやっていいの?」と思うかもしれない。そうしたら「うん、やっていいんだ」と考えて、さっさと次のステップに進むこと。所詮君の想像の中なのだ。何をやろうと、他人に迷惑はかからない。

 たっぷりと計画を練って、プレイヤーを脅かしてくれたまえ。

 最後に言っておくが(特にウチの団員達)、その想像の中で、どんなに完璧でびゅーちふるな計画が練れたとしても、実際に行動に移すのはやめること。それは犯罪だ。

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